事務所ブログ:既に始まっているインフレの経済的影響と防衛策

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名古屋と札幌で活動している、ファイナンシャルプランナーのおさかべです。

私の自己紹介になります。

https://note.com/masaya_osakabe/n/n4bbef3c72c14

今回は「既に始まっているインフレの経済的影響と防衛策」についてお話しさせて頂きます。

毎月実感する生活費需品の値上がり


ここ最近、多くの方が食料品や水道光熱費を中心に、生活必需品の値上がりを感じることが増えてきているのではないでしょうか?
食用油しかりガソリンしかり電気ガス代しかりetc.

昨年の終わりごろから、各種メディアでも取り上げられ始めていますが、ついに実感するレベルにきたかというのが正直なところです。
日本銀行が公表している企業物価指数のデータでは、対前年比で10%も上がっています。

日本銀行HPの下記URL参照。
企業物価指数の公表データ一覧 : 日本銀行 Bank of Japan (boj.or.jp)

これをわかりやすくいうと、消費税が20%になったのと同じです(もちろん、商品によってバラツキはあります)。
20年以上、名目上は物価がほとんど上がっていない日本では、晴天の霹靂ともいえる出来事です。
このインフレはいつまで続くのか、またどのくらい日常生活に影響があるのか、私が考える結論をお伝えします。

結論:「2022年は昨年と比較して、あらゆるものが20%以上値上がり、家電などの生活必需品の在庫も品薄になり3か月以上の待ちになる」

今年のGWに大手家電量販店へプリンターや冷蔵庫を見に行ったのですが、まだ値上げはされていなかったものの、在庫限りでその後は早くて3か月待ちと言われました。
私以外にも、このような経験をされたことは既にいらっしゃると思います。
クルマに至っては、お世話になっている国内メーカーのディーラーさんの話では、上海のロックダウンの影響もあり、軽自動車の引き渡しも成約から半年近く先になるそうです(しかも、装備品も不完全なケースも)。

現状、東ヨーロッパ情勢が膠着し、中国の不動産バブル崩壊の流れと上海などのロックダウンの影響も続いています。
そのような中で、原油価格も110ドル前後、円ドル相場も127円台で推移している現在では、食料品や原材料を中心に輸入価格上昇の流れが止まることはないでしょう。

この中で、日本が自力で多少なりとも影響を与えられるのは、円ドル相場だけです(為替介入含め)。
1ドル110円や100円と円高に振れれば、インフレに多少の歯止めはかかると思います。

昨今の社会情勢で、企業の経営も厳しくなっているので、物価に見合った給料の上昇についても正直期待薄です(一部大手企業を除き)。
政府が何とかしない限りは厳しいと思います。

マクドナルドのSサイズポテト問題から見る物価高の原因。
昨年の12月、日本列島に衝撃が走りました。マクドナルドのポテトが、Sサイズのみの販売となりました。
なぜ、このようなことになったのか。巷で言われている理由だけでなく、もう少し突っ込んで日本に与える影響についても解説します。
以下の3つが、今回の原因となります。

・新規コンテナ生産量が減っている

・アメリカでの労働者が足りていない

・日本に立ち寄る貨物船が減っている

1つずつ解説していきます。

新規コンテナ生産量については、2020年で昨今の社会情勢によりコンテナの生産量が25%も減少しました。
さらに、コンテナ生産工場の作業員が新型肺炎に感染し、作業効率も落ちました。
そして、世界経済の先行き見通しが悪化したことによる新規コンテナ生産量の低下です。

アメリカでの労働者が足りていないについては、元々、港湾労働者の数が不足しています。
そこに追い打ちを掛けるように、景気冷え込みによるリストラと移民労働者の帰国、政府からの手厚い失業サポートもあります。

日本に立ち寄る貨物船が減っているについては、現在の貨物輸送が輸送量と金額が最も大きい、中国とアメリカ間がメインとなっています。
しかし、アメリカは中国からの輸入の方が慢性的に多い状態です。そうなることで、輸出品が出揃うまで港にコンテナを待たせることになり、物流を止めることにも繋がってしまいます。
結果的に、アメリカと中国間のコンテナ船は、一定数を空箱のまま中国へ返却しているそうです。

しかし、1つの船に積めるコンテナの数には限界があり、中国に送る空箱を増やした分、日本に輸出している食料品や原材料の貨物量を減らされてしまっています。
この結果、日本がアメリカから輸入できる量は減り、在庫数も確保できず、モノの値段も上がってしまうのです。
個人的には、Apple製品も今後さらに値上がりしないか心配です。

日本がインフレを楽観視できない理由

日本として放っておけない事実は、「日本よりも他のアジアの国々の方がモノが高く売れる」という経済原理が働いてしまっていることです。

当然、ビジネスである以上、売る側は高く買ってくれる客(日本以外のアジア諸国)を優先します。
特に、2000年以降は、世界第三位の経済大国とはいえ、それだけ日本の経済力が落ちていて物価安も進んでいたということになります。

ここ数年、某経団連所属企業を中心に、中国やベトナムなどの人件費が上がってきて海外に工場を作るメリットが少なくなっているとの報道も増えてきました。

つい先日も、日本銀行の発表で、日本の実効為替レート(物価も加味した為替レート)が、50年前の水準になったという報道がありました。
早い話、円の実力が50年前のレベルが落ちたということです(最盛期は1995年頃でその当時の半分以下に)。

実効為替レートに興味のある方は、下記のURLが参考になります。

実効為替レート(日本円)の推移とチャート(名目・実質) (stock-marketdata.com)

以上の結果から、今さら政府批判をしても始まらないので、個人で対策を打つ必要があります。

個人でインフレに対する最もシンプルで効果的な方法は、「有利息の借金を完済し、日々の無駄な買い物を辞めて、生活必需品を確保すること」になります。
たまに、物価高になれば借金が減るんじゃないのと言われますが、住宅ローンを始めとしたローンの金利は、10年国債の利回りが基本になっていることをお忘れなく。
裏を返せば、日本銀行が低金利政策を辞めてしまえば、とんでもないことになるということです。

個人でできるインフレへの対抗策とは

ここからは、個人でできるインフレへの対抗策についてお話します。
あくまで、世間一般の家庭を念頭に置いたものになります。

結論から言うと、最も効果的な方法は「有利息の借金(住宅ローン・マイカーローンなど)を完済し、日々の余計な買い物はやめて、物価上昇率以上の利回りでお金を増やす」になります。

残念ながら、世界的な天候不順や東ヨーロッパでの戦争状態もあり、資源大国や農業輸出国からのエネルギーや食料品の輸出が減っています。
ガソリン価格・電気ガス代・食料品価格を中心に、これからも生活費高騰の流れは避けられないでしょう。

つい最近のニュースになります。

年内の値上げ1万品目超 食品105社

以上から、対策について一つずつ解説していきます。

①有利子の借金を完済する

具体的には、住宅ローン・カードローン・マイカーローン・利息のある奨学金などが挙げられます。

もちろん、これらの全てを完済させることは厳しいと思うので、利息の高いものからで大丈夫です。
なぜ、そのような必要があるのか、主な理由は以下の三点になります。

・ローンの支払利息の金利の目安となる「無担保コール翌日物」や「日本の10年国債」の金利が上がってきている

・感染症収束のメドが未だに立っておらず、政府も経済復興の具体的なシナリオが描けていない

昨今の社会情勢を始め、イランの核開発問題や台湾海峡でも緊張が高まっているなど、世界情勢が極めて不安定な状態

この状況下で、楽観シナリオは描くことは難しいと思います。少なくとも、私には無理です。
現在の無担保コール翌日物と日本の10年国債の金利についてはこちらです。

無担保コール翌日物レート : 政策金利 | マーケット情報 | 楽天証券 (rakuten-sec.co.jp)

代表例として、住宅ローンの変動金利については、市場の金利上昇に合わせて25%ルールという金利上昇ルールが適用されます。
組まれているローンの種類に関わらず、いかなる時も今の金利が固定されるかは調べる価値があります。

②日々の支出を減らす

ニュースにもなっているように、来月以降も生鮮食品を始めとした10%前後の値上げがあります。
インフレになれば、同じものを買っていても出費が増えるので、必要な対策になります。

昨今の社会情勢もあり、既に携帯電話代や電気代。交際費。交通費といった節約は進んでいると思います。
しかし、まだまだ節約できるものがあります。

それは見栄代。例えば、家・クルマ・服・靴・腕時計・バッグ・美容院代etc.

これらの出費は余裕があれば結構ですが、そうでなければ家計を圧迫するだけです。この節約についても、優先順位を付けて取り組まれることをお勧めします。
ちなみに、私自身の見栄代はクルマだけに絞りました。

政府の追加の経済対策や減税にも期待できない現状では、個人で抜本的な対策を打つ必要があります。

③手持ちのお金をふやす

最もやりやすい方法は、昨今のネットや書籍でも言われているように投資か副業です。

なぜなら、現金や銀行預金でお金を持っていても、物価高には対応できないからです。
もちろん、生活費の半年分以上の現金や銀行預金は必要です。

インフレになってしまうと、現状、ほとんど利息の付かない銀行預金では、事実上、お金の価値が減っているのと同じことになります。

投資の手段としては、株式や債券といった金融投資。不動産投資など自分にとって興味関心があるものをオススメします。
ちなみに、私は馴染みのある金融投資を行っています。但し、FXや暗号資産(仮想通貨)、宝くじといったものは負ける確率が高いので、個人的にオススメしません。

投資とか難しい、めんどくさい、ピンとこない、お金を失うのが怖いという方は、自分にあった副業をオススメします。
ネットを中心に、元手が無くても、短時間で月〇万円稼げますとかの宣伝もよくありますよね。

最後は自分の身は自分で守る

以上が、個人でできるインフレの対策になります。しかし、決まってこんな反論もきます。
「ケチケチせずに、もっと稼ぐことを考えろ」「ケチケチすると、国の経済活動にますますダメージを与えるだけ」「ケチケチすると、さらにストレスが溜まる」etc.

お説ごもっとも。言いたいことはよくわかります。しかし、危機感からポジティブに行動している方は、既に動いています。特に、横並び意識の強い日本人に、未来への行動力を求めることは酷だとも思っています。
しかし、政府の対策が期待できない以上、サバイバルしていくには、景気が好転するその日まで、自分の身を削って働き貝のように過ごすしかありません。

さらに詳しい対策については、こちらにまとめてあります。

事務所note:毎月確実に進んでいるインフレへの対策|おさかべ@長期投資推しFP|note

手持ち資金を増やす方法も、必ず結果が出るわけではありません。まずは、確実に結果が出る借金の返済や日々の支出の削減から始められることをオススメします。

最後までご覧いただきありがとうございました。

*投資は自己責任でお願い致します

当事務所は、ノーマスク入店OKのFP事務所になります。

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投稿者プロフィール

個人を応援する独立系FPおさかべ
個人を応援する独立系FPおさかべ(代表)
名古屋市在住。個人を応援する30代の独立系FP。起業して6年目。
これまで1,500名以上のFP相談を受注。私自身「あの年齢の時に」「起業する前に」こんな情報を知っていたら、もっと早く確実に成果が出せたと思うことが沢山ありました。このブログでは、個人レベルで知っておくと役立つ、経済関係の時事ネタや家計・資産形成などについて、シンプルにかみ砕いてお伝えします。

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この記事を書いた人

名古屋市在住。個人を応援する30代の独立系FP。起業して6年目。
これまで1,500名以上のFP相談を受注。私自身「あの年齢の時に」「起業する前に」こんな情報を知っていたら、もっと早く確実に成果が出せたと思うことが沢山ありました。このブログでは、個人レベルで知っておくと役立つ、経済関係の時事ネタや家計・資産形成などについて、シンプルにかみ砕いてお伝えします。